『不合理だらけの日本スポーツ界』

大学アメフト業界が揺れています。

そんな中でhonzで紹介されていたのが本書。

どうしてもタイトルが気になり、買ってしまいました。

 

といっても本書が発売されたのはあの一件の前。

特に日大の件に触れられているわけではなく、日本スポーツ界と米スポーツ界の違いが語られています。

 

著者は河田剛氏。

1995年リクルートオービックシーガルズでコーチをした後、2007年に渡米し、スタンフォード大学アメフト部でボランティアコーチ、オフェンシブ・アシスタントを歴任。現在、日本人の選手や指導者の中で、米プロフットボールNFLに最も近い存在と呼ばれる人です。

 

違いを述べるのにも説得力があります。

実際に内容を見ていきます。

 

---引用---

その 1年で最も驚いた 、正しいニュアンスで伝えるとするなら 「ショック 」だったことは 、ヘッドコ ーチの年俸が数億円だったことでも 、試合前日に高級ホテルに泊まることでも 、地元のお金持ちや卒業生が一度に数十億円を寄付することでもない 。 1 0万人もの観客を虜にする大学生アスリ ートたちが 、 「ふつうに勉強している 」ことだ。

 

日本のスポ ーツには何が足りないのだろうか ?端的に言ってしまおう 。それは 「お金 」である 。

…メジャ ーリ ーグやヨ ーロッパのサッカ ーリ ーグで活躍している選手が 、日本ではあり得ないような年俸を受け取っていることは 、みなさまもご存知であろう 。言い方を変えれば 、日本のスポ ーツ界は 、良い選手に 、世界標準の対価を支払う能力がないとも言える 。

 

アメリカでセカンドキャリアを成功させる選手が多いのはなぜだろうか ?簡単に言えば 、選手のセカンドキャリアに対する 、母体組織としてのそれぞれのリ ーグの努力 、リ ーグの利益供与があるからだ 。

 

「日本の社会のシステムや慣習が 、日本のアスリ ートが成長する機会と 、アスリ ートが世界のトップになれるスポ ーツに出会う機会を奪っている 」

 

---引用終わり---

 

本書を読んで感じるのは「お金」の重要性。

ビジネスにつながることでお金が集まる。

→お金が集まることで、良い選手・良いコーチ・良いスタッフが集まる。

→レベルが上がる。

→さらにお金が集まる。

という好循環がアメリカでは形成されていることが分かります。

日本には高額な年俸に対してネガティブなイメージがつきやすいため、アメリカのような仕組みを中々作れないのでしょう。

 

この度、ヴィッセル神戸が30億円超でイニエスタ選手を獲得しましたが、欧州サッカーでいうならば、標準かもしれません。

イニエスタ選手の影響でこれからの日本サッカーがプラスに向かうなら安い買い物ではないかと思います。

 

アメリカとの比較で語られており、日本批判のように感じてしまうため、読んでて良い気持ちにはなりませんが、著者が日本を嫌いでないことはきっちり読めば分かります。

日本スポーツ界の課題を知ることができました。

ぜひ読んでみてください。